📺 今泉力哉「1122 いいふうふ」
プライムビデオオリジナルドラマ「1122 いいふうふ」。監督は今泉力哉、脚本は今泉かおり、撮影は四宮秀俊。原作の漫画は全く知らなかったが、会社の同僚に勧められて観たところ、めちゃくちゃ面白かった。
今泉力哉や四宮秀俊といった、自分が好きなスタッフ陣の作品ということもあり、当然素晴らしかったのだが、最終的にはスピッツの主題歌がとにかく最高だったという結論に達した。特に、Ep.6 のラストの長回しのシークエンスが印象的。かなりの時間、固定カメラで高畑充希と岡田将生の演技が続き、衝撃的なナレーションからのブラックアウトでエンドロールとともに、最高のタイミングでスピッツの「i-O (修理のうた)」が流れたときは、思わず「すごっ」と声が漏れてしまった。
対応するように、最終話でも同じカメラ位置からの印象的な長尺のシークエンスがあった。Ep.6では一歩踏み出す攻めの決断的というニュアンスのシークエンスだったのに対し、最終話では本当に大切なものを守るための決断のように感じられ、それは「何度も壊れても直せるから…」というスピッツの主題歌の歌い出しともマッチしていて、めちゃくちゃ感動的だった。
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📖 小原晩「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」
ダウ90000 の蓮見翔が NOBROCK TV で紹介していたエッセイ「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」。作者の小原晩の東京での生活がかかれている。共感するところも多く、めちゃくちゃくらってしまった。
まず、一遍目のエッセイが、本のタイトルにもなっている唐揚げ弁当の話。文章自体の面白さがありつつ、謎に共感をさそう内容が、上田誠の演劇を観ているような感覚になって一気に心をつかまれてしまった。
中盤から後半にかけては、住んでいた地域が近かったのもあってより共感した。バルト9のレイトショー、深夜の代々木公園、はるのおがわ公園のブランコ、羽根木公園、下北沢の新雪園。京王線や小田急線沿線に住んでいる人は誰もが知っているであろう（ただ、誰もが自分だけが知っていると思っている）小さな喜びが綴られている。マカロニえんぴつの「ヤングアダルト」という歌で「世田谷ヤングルーザー」という言葉が歌われているのだが、自分はそれを思い出した。
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🎫 『センスの哲学』刊行記念 千葉雅也×濱口竜介トークイベント「観賞と制作の深みへ」
代官山蔦屋書店で、千葉雅也の「センスの哲学」の出版記念トークショー。トーク相手は映画監督の濱口竜介。濱口竜介の新刊本「他なる映画と」の発売もあったので購入。これを読むのも楽しみ。
イベントタイトルは「観賞と制作の深みへ」だったが、制作に対する意見交換が多かった気がする。特に面白かった話は、濱口竜介の映画制作で一番最初に出てくるアイデアは「対話」で、そこから、プロットの作成、キャラの性格の掘り下げなどを行って、映像は最後にロケハンをしながら決めていくという話だ。映像は、自由な発想で考えるのではなく、ロケハンなどをしながらここで撮らなければいけないという制限があることで面白いものが生まれるとも言っており、「他なる映画と１」の最初に書かれていた、映画の「記録性」にもつながる話だったのかもしれないと思った（「他なる映画と」はまだ最初の数十ページしか読んでないが・・・笑）一方、千葉雅也が小説を書くときは、むしろ最初に映像が出てきて、それに繋げるようにプロットを書くと話しており、その真逆さも面白いと思った。確か、宮崎駿のアニメ制作もイメージボートと呼ばれるものを最初に書いて、それを繋げるように物語を作っていたはずで、小説やアニメ映画と比べて、実写映画の「記録性」が高さ（それは良さでもあり、不自由さでもあると思う）が関係していたりもするのかもなぁと考えたりした。
あまりバックボーンを知らずにトークイベントに行ってしまったが、千葉雅也と濱口竜介が大学時代からの仲で、お互いに「ハマ」「千葉くん」と呼び合っているのがいいなぁと思った。青春を共に過ごした仲間がそれぞれの道で一流になって、トークショーをするというのはめちゃくちゃかっこいい。
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